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紫苑 禍忌

紫苑ストーリー

 上海。
 午後3時。

 アッシュ・クリムゾンたちが、昨年チームを組むために集ったという極東の大都市を、一人の「人間」が訪れていた。
 細身で小柄な体躯を中国風の服で包み、黒髪は長い。一見して女性のような出で立ちだが、柔軟で引き締まり、実用的な筋肉に覆われている。遠目に性別は判別しがたい。

(不知彼不知己、毎戦必殆、か。ハッ、まぁ下調べくらいはしておいて損はねぇよな)

 彼女、いや、彼の名は紫苑。この時代での名前だが、それにもようやく慣れたところである。
 人間の繁殖具合に最初こそ驚いたものの、よくよく観察すればその行動パターンは驚くほど過去のそれと似通っている。道具や建物がいくら変わろうと、それは変わることがない。


「この人殺し!」
 街並みに、これまた太古より変わることのない、負の感情に後押しされた痛烈な叫び声が谺した。
 上海の込み入った通りが、大きな建物の前で少しだけ開けている。
 声を合図に、その周囲に群がっていた人が一斉に出口にたかり、数人の人間に対してカメラのフラッシュが焚かれ、マイクが槍ぶすまのように突きつけられる。

(……ああ、サイバンってやつか)

 出口から弁護士と警備の人間に囲まれて、被告人が出てきた。
 ヘラヘラと口元はだらしなく歪み、濁った目が自分以外の全ての人間を蔑みきっている。
 紫苑はそのニンゲンを見たことがあった。
 TVや雑誌でしきりに騒がれていた連続殺人鬼。判明しているだけでも無差別に八人を殺し、九人目の右耳を削ぎ落としたところで逮捕されている。
 その男を囲む警備の壁の前で、女がひとり、血を絞り出すような叫び声をあげている。
「人殺し、人殺し! 誰かこいつを殺して! あの人と同じ目に会わせてやって!」

 女の訴えは悲痛だった。
 今日の判決では被告は犯行当時薬物の影響で神経衰弱の状態にあり、実刑は言い渡されたものの、懲役三十年。まだ二十代のその男は、壮年で再び世に帰ってくることができる。

 女は、誰彼かまわず捕まえて訴えていた。
 誰かあいつを殺してください。お願い、誰か……。
「あなたでもいいわ、あいつを、あいつの息の根を止めてやって! せめてあの人が死ぬ時に受けた苦しみの何割かでも味あわせてやって!」
 女は、紫苑の袖にしがみついて懇願した。
 パサパサに水気を失った髪。涙と鼻水とでぐしゃぐしゃの顔には化粧気も何もない。その瞳の奥には無念さと懸命さが入り混じり、狂気が顔をのぞかせつつあった。
「どきな。うるせぇよ」
 女を押し退けようとした紫苑の視線が、被告人の視線と絡み合った。

 その時、男は確かに『せせら笑った』。

 紫苑は女の肩にかけた手を止め、その体を引き戻した。

「おい」
「……は、はい」
「ついでだ。そこで待ってろ」

 と、小さく肩を押した。有無を言わさぬ迫力があった。女はふらふらとフラッシュの焚かれる輪の方へと歩いてゆく。紫苑は振り向くと、周囲を見渡した。すぐ横手には建設中のビルがあり、鉄パイプが山と積み上げられている。工具、グラインダー、工業用のカッター。上海の雑踏に無いものはない。紫苑は満足そうに頷いた。

「頂くぜ」

 鉄パイプの一本を取り上げると、すぐ近くにある工業用のカッターにその先を当てる。
 火花が散り、三秒とまたずに、その先端は斜めにカットされた。
 即席の手槍を右手に乗せてバランスを確かめる。悪くない。

 通りの人々の視線は、いまだに男とその周辺に集中していた。ほとんど全てのニンゲンから、その男への敵意が煙のように立ち昇っている。紫苑はゆっくりと槍を傾けると、建物の間に歪に切り取られた空を見上げた。わずかに見えていた空に、旅客機が巨大な腹部を覆い被せた。轟音が、それ以外の全ての音を掻き消した。槍が無音の空へ向けて放たれる。

 世界が音を取り戻した。

「!!」

 一瞬遅れて、獣の叫びが上海の街に響き渡った。
 真上に投げ上げられた紫苑の槍は、その頂点に達した後、いくぶん前屈みになっていた男の背部に向けて、正確に落下した。
 槍は男の背中側の腹部を貫き、腰の前部に一瞬出た後、右太股の表裏を一直線に突き破り、大地に男を串刺しにした。
 最初の咆哮の後、男の腹は腹圧で破れた。裁判所のコンクリート製の階段の上に、魚屋のバケツの中身のような赤黒いモノが撒き散らされた。

 男は串刺しにされたまま、もはや叫ぶこともできず、血の気の失せた顔で、ゆっくりと紫苑の姿を探した。紫苑はその男に向かい、髪をかきあげて見せた。男の息はそこで止まり、壊れた安物の玩具のように、首と両手がカクンと前に折れ下がった。

 一瞬の静寂の後、広場は蜂の巣を突付いたような騒ぎになった。
 後ろも見ずに逃げ出す者。体を低くして辺りをうかがう者。路上に嘔吐する者。混沌として収集がつけられない。

「ひ、ひ……、ひとご……」

 紫苑の足元で女が腰を抜かしていた。顎と手先が見てわかるくらいガタガタと震えている。ここに来て女は気がついた。目の前の人物の心が、いささかも動いていないことに。
 その瞳は深海を泳ぐサメのように無感動だった。目の前を泳ぐ雑魚どもの悲喜こもごもになど何の関心もない。鼻先をうろついた小魚が気に入らなかったから、その半身を食い千切って慰み者にしてやったまでのことなのだ。

「ひ、ひとごろし……」

 それでも蚊の鳴くような声で女は口に出したが、周囲のニンゲン共はそれに気付く余裕を失っている。恐怖とアクシデントに見舞われたニンゲンたちは、単なる烏合の衆と化した。

 紫苑は完全に興醒めした表情で、くるりと女と広場に背を向けた。


「難知如陰……か。ったく、ニンゲンってヤツは千年経っても進化しやがらねえのかよ」

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