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THE KING OF FIGHTERS XI
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エージェントチーム K’チーム アンチ極限流チーム 京&庵チーム
龍虎チーム 餓狼MOWチーム サイコソルジャーチーム アーデルハイド&ローズ
紫苑 禍忌

怒チームストーリー

 驟雨の降りしきる郊外の墓地に、十数人の正装の軍人が集っていた。
 棺と、それを収める深い穴が用意され、聖書の一節が厳かに読み上げられる。

「葬式ってのは、何度やっても嫌なもんだ。なぁクラーク」
 雨音に消え入りそうな声で、ラルフが呟いた。
「特に傭兵の場合はね」
 サングラスを外したクラークも暗い面持ちだ。
 長い付き合いの二人である。ラルフはクラークの言わんとすることがよくわかった。

 棺に横たわっている「はず」だった男は、享年59歳。
 普通の生活を営んでいれば、妻も子も孫までいて、そろそろ仕事を引退し、悠々自適といった年齢である。
 それが実際はその年まで弾薬を担いで世界の戦場を往来し、家族を持たず、いたとしても家を空けがちな生活が祟るのか、戦場で荒んだ心が影響するのか、早々と別れて結局は孤独な生涯を送る。

 そして葬式という人生最後のセレモニーにおいて、参列者のうち軍人でない者は聖職者のみという結末を迎えるのである。
 その牧師が聖書を閉じ、代表の軍人が代わって号令をかけた。

「勇敢なる兵士、ジム・オルドゲートの英霊に……」

 確かに同僚の死を悼む声音ではあったが、これまで何人もの男たちを送り出してきたのだろう、手馴れた様子も伺える。

「敬礼!」

 一糸乱れぬ所作で、牧師を除く全ての参列者の右手が上がった。
 最前列のハイデルンを含め、ラルフ、クラーク、ウィップ、レオナ。
 ウィップの左手には、小さな白い花があった。

 棺の中には認識票と、その白い花のみが入れられている。死者が生前好んで手にしていた花だ。遺体の方は戦場で四散し、回収は不可能だった。

 敬礼が終わると、穴の底に置かれた棺に土がかけられた。
 すっかり湿った土は重く、棺の上に無慈悲に大きな音を立てて落ちてゆく。
 やがてその作業も終わると、軍人たちは一人二人とその場を離れて行った。

「ラルフ、クラーク、話がある」

 第一種礼装に身を固めた隻眼の男が、ラルフとクラーク、そしてウィップを呼び止めた。

「前回に引き続きKOFに参戦してもらう。これはもちろん命令だ」

 予想されていた通りだった。ただ、レオナがそれに含まれていないことが気になる。やはり……

「無界と名乗った連中は、オロチ八傑集そのものではない。それは明白だ」

 ラルフの懸念をそのまま肯定し、その上でハイデルンは「ただし」と続けた。
 オロチの力を何らかの形で利用しようとしていることはほぼ確実となった。前大会では、おそらくそのための第一段階として、オロチの封印を解除することに成功している。
 その影響を受け、レオナは一時前後不覚の状態に陥っている。正気に戻すのには、少々骨が折れたものだ。

 気に掛かることはもうひとつあった。

「教官、もしかしたらこのミッションとも関係するかと思うのですが……」
「なんだ」
「前大会に参加する直前のミッションで、我々が報告した巨大飛行船についてです。何か詳細が明らかになっていないかと思いまして」
 隻眼の傭兵は表情にも声にも何の変化をもたらさず、答えた。
「……現在も調査継続中だ」
「そうですか。特異な代物だったので気になってたんです」
「詳細がわかれば知らせる。今は新任務に専念するように」
「はっ」
「潜入実行部隊はラルフ、クラーク、ウィップの3名で構成。以上」

 その場を離れるハイデルンの後姿を、3人は直立不動で見送った。
 最初に口を開いたのはウィップだった。
「大佐、珍しいこともあるものですね」
「何がだ」
「先ほどのハイデルン司令、嘘をついてました」
「……だから?」
 だから、じゃないでしょう。と、ウィップは不快さを隠さず言った。
 命を賭けて潜入捜査をするのは自分たちだ。必要な情報が提供されないとなれば、そのリスクを負うのも自分たちではないか。

「ムチ子、お前が手に持ってるその花な、名前を知ってるか?」
 献花に残った最後の1本。日本ではコブシと呼ばれる、大ぶりのモクレン科の花。
「……マグノリア、です」
「花言葉は『信頼』だ。俺とクラークが教官と何年つきあってると思ってる。教官は言う必要がなかったと判断したから言わなかった。それだけだ」
 ウィップはまだ何か言いたげであったが、そこに続く言葉はかろうじて飲み込んだ。

「それにしても」
 ここまで沈黙を保っていたクラークだったが、サングラスの奥の目が笑っている。
「大佐の口から『花言葉』とはね」


 ※ ※


 墓地を後にしつつあったハイデルンの背中に、ラルフたちの笑い声がかすかに届いた。
 今回、ハイデルンはかなりの……おそらくちょっとした国家規模の部隊を率いることになるはずだった。
 責任の重さを痛感しているのは確かだが、この気の重さはそれ以外のところに原因がある。
(アーデルハイド……。あの青年、確かそういう名だったな)
 少し離れた傍らには、レオナがいる。
 雨に濡れた青い髪を拭うこともしない、無口な傭兵の少女。
(血の宿命に苦しんでいるのは、君一人だけではないのだぞ……)

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